身体診察 勉強計画

以下 臨床研修の到達目標より。

 

(2)基本的な身体診察法
病態の正確な把握ができるよう、全身にわたる身体診察を系統的に実施し、記載するために、

1)全身の観察(バイタルサインと精神状態の把握、皮膚や表在リンパ節の診察を含む。)ができ、記載できる。

2)頭頸部の診察(眼瞼・結膜、眼底、外耳道、鼻腔口腔、咽頭の観察、甲状腺の触診を含む。)ができ、記載できる。

3)胸部の診察(乳房の診察を含む。)ができ、記載できる。

4)腹部の診察(直腸診を含む。)ができ、記載できる。

5)泌尿・生殖器の診察(産婦人科的診察を含む。)ができ、記載できる。

6)骨・関節・筋肉系の診察ができ、記載できる。

7)神経学的診察ができ、記載できる。

8)小児の診察(生理的所見と病的所見の鑑別を含む。)ができ、記載できる。

9)精神面の診察ができ、記載できる。

 

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1)全身の観察(バイタルサインと精神状態の把握、皮膚や表在リンパ節の診察を含む。)ができ、記載できる。

 

バイタルサイン

参考:看護roo!

https://www.kango-roo.com/learning/2842/

めちゃくちゃまとまっている!

 

vital=生きている、signs=しるし・徴候

つまり、バイタルサイン=「人間が「生きている」 ことを示す指標」

 

常にバイタルサインを観察することによって、生命の危機および異常を早期に発見し、対処できるようになる。

 

※ABCDEについて

参考:

https://is-innovation.com/jyuusyoukannjya/

 

ABCDEとは

ABCDEはそれぞれが頭文字になっています。

A=気道 B=呼吸 C=循環 D=意識 E=体温です

ABCDEを評価して、緊急性があるかどうかを判断します。

 

A=気道の評価

・会話ができる時点で、気道は開通しているのでOKです。

・息を吸ったり吐いたりするときに、聴診するまでもなく異音がある場合は気道の閉塞を疑います。

・息を吸ったあとに胸郭が左右膨らんでいるかを見ます(左右差がある場合はどちらかの気管支の太いところが痰などで閉塞している可能性があります)これは、Bの呼吸の評価でも観察します。

・呼吸時に異音がする場合は要注意です。特に吸気時にいびきのような音が聴こえるものは、気道の閉塞が疑われるために緊急性があります。(ストライダーといいます)

・人工気道(挿管チューブや気管カニューレの場合)の場合は基本的に気道は開通していますが、痰による閉塞に注意です。固定がしっかりされているか、深さが変わっていないか観察してください。

気道の評価をまとめると、会話が可能=OK。呼吸時の異音がないか。胸のふくらみは左右差ないか。人工気道の固定と位置は大丈夫か。これをぱっと評価します。

B=呼吸の評価

・呼吸の回数を見る。頻呼吸は緊急性があります。呼吸が速い人は急変の可能性がありますので、特に注意が必要です。呼吸が遅い人は中枢神経系の疾患や、鎮静薬や鎮痛系の麻薬などを使用している場合があります。頭に入れて観察します。中枢神経系疾患がある場合の徐呼吸は対処ができません。血中二酸化炭素が蓄積していないかを確認します。薬剤が原因の場合は量が多い可能性があります。パニック発作の頻呼吸は例外です…

・呼吸パターンをみる。死線期呼吸は呼吸停止の一歩手前です。このほか、陥没呼吸も緊急性があります。

・胸郭の動きをみます。息を吸ったときに、左右同じように上がっているかを観察します。どちらかの動きが悪い場合は痰などで閉塞している可能性があります。

呼吸の評価をまとめると、頻呼吸は緊急性があります。死線期呼吸や陥没呼吸はどのような見た目なのかを動画などで確認しておきましょう。胸郭の動きが左右対称がどうかも大事です。

C=循環の評価

・尿量を見る。尿量は、循環血液量・血圧・心臓の機能が反映されますので、的確な循環評価の指標になります。尿量が0.5㎖/(体重)㎏/ℎ以上が一つの最低レベルだと考えます。つまり、体重50㎏の人は1時間で尿量が25㎖が最低量と考える指標にします。

・循環が悪い人の典型的なバイタルサインは、頻脈・低血圧です。脈拍数と血圧をセットで観察します。

・末梢は温かいか・冷たいかを触って感じます。冷たい場合はチアノーゼがないかを観察します。過度に温かい場合は強い炎症が起こっていることがあります。病名が敗血症などで、末梢が過度に温かい人は、ショックの可能性があり注意が必要です。その場合は血圧や尿量の確保ができているかを観察します。

・昇圧剤を使用している患者は使用量がどれくらいなのかを把握します。極量使っている場合はそれだけ循環が悪い証拠ですので、薬剤の管理も含めて注意が必要です。

循環の評価をまとめると、まず末梢に触れながらほかの観察も行うと効率的です。尿量と脈拍・血圧をセットで観察します。血圧が多少低くても、尿量が確保できていれば循環は維持できていると判断します。これは、腎血流量が確保できている証拠だからです。循環の評価の観察点はいろいろありますが、尿量が確保できているのは大きなポイントであると言えます。

D=意識の評価

・ツールの使用をおすすめします。GCSやJCSが妥当であり、それぞれの施設で取り決めされているものを使用します。評価者が違っても評価に差がでにくいために有用です。GCSの場合は、V言語とM運動を正しく評価することが必要です。例えば、Vの混乱した会話と、不適切な発語の違い・Mの除脳硬直と除皮質硬直などを正しく評価しましょう。

・なんとなく様子がおかしいという看護師の勘は結構当たる場合があります。この場合、意識や循環などの異常を来していることがあります。GCSなどの数値上が変化しない場合でも注意が必要です。

・鎮静鎮痛剤の使用の場合は、専用のツールを使用します。

E=体温の評価

・意外と忘れがちなのが低体温です。重症患者は、失血や環境・輸液・循環不全・体温中枢機能の低下などが原因で低体温に陥りやすいです。熱を測定しなくても、体幹など触れてみることも大切です。低体温は徐脈や電解質異常、出血傾向助長、免疫低下などのデメリットがあります。特殊な治療をする場合を除き、適温を維持しましょう。

・クーリングの是非について。賛否両論ありますが、私の経験上は発熱に対するクーリングは意味がないと思われます。本当にクーリングが必要なのか検討をしてみてください。

 

精神状態の把握

 

Japan Coma Scale (JCS) 
I. 刺激しないでも覚醒している状態
 0. 意識清明
 1. 見当識は保たれているが意識清明ではない
 2. 見当識障害がある
 3. 自分の名前・生年月日が言えない
 
II. 刺激すると覚醒する状態
 10. 普通の呼びかけで容易に開眼する
 20. 大きな声または身体を揺さぶることにより開眼する
 30. 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する
 
III. 刺激をしても覚醒しない状態
 100. 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
 200. 痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる
 300. 痛み刺激に全く反応しない
 
注 R:Restlessness(不隠)、I:Incontinence(失禁)、A:Apallic state(失外套症候群)またはAkinetic mutism(無言無動) これらの状態があれば、数字の後に-Rや-Iや-Aを追記する。
注 IIの状態と熟睡している意識清明との鑑別は、刺激で覚醒した後、15秒観察する。IIならば、15秒以内に閉眼(意識レベルが下がる)する。
 


Glasgow Coma Scale (GCS) 
開眼(eye opening,E)
 4. 自発的に開眼
 3. 呼びかけにより開眼
 2. 痛み刺激により開眼
 1. 痛み刺激により開眼なし
 
最良言語反応(best verbal response、V)
 5. 見当識あり
 4. 混乱した会話(見当識障害あり)
 3. 不適当な発語(単語)
 2. 理解不明の音声(アーアーウーウー)
 1. 発語みられず
 T. Tracheotomy(気管切開)
 A. Aphasia(失語症
 
最良運動反応(best motor response、M)
 6. 命令に応じて四肢を動かす
 5. 痛み刺激に対し、手で払いのける
 4. 痛み刺激に対し、四肢を引っ込める(逃避)
 3. 痛み刺激に対して異常な屈曲運動(除皮質硬直)
 2. 痛み刺激に対して異常な伸展運動(除脳硬直)
 1. 運動みられず

 

リンパ節の診察の仕方

参考:

https://youtu.be/9q9-xuNOdGU

 

後頭リンパ節(風疹に特徴的):胸鎖乳突筋→耳介後リンパ節(風疹に特徴的)→耳介前リンパ節(流行語耳下腺炎)→扁桃リンパ節→顎下リンパ節→オトガイ下リンパ節→後頚リンパ節→浅頚リンパ節→深頚リンパ節→鎖骨下リンパ節

 

2)頭頸部の診察(眼瞼・結膜、眼底、外耳道、鼻腔口腔、咽頭の観察、甲状腺の触診を含む。)ができ、記載できる。